第16章 Freeze! 〈天晶 瑠璃〉
「始まるね…」
『うん』
明電高校からキックオフ。豪炎寺君とヒロト君のツートップで攻め上がり、敵のディフェンダーを躱していく。
「明電高校のツートップ、豪炎寺と基山が相手陣に駆け上がったー!」
「頑張れ…!」
そのまま攻め上がってヒロト君が攻めるかと思いきや、敵がマークしていない豪炎寺君にパスをした。
「爆熱ストーム!」
攻め上がってるのにちゃんと周りを見てるんだ。どれだけ確実にシュートを打てるかを計算してる。次は敵からのスタート。敵もこのまま黙ってはいないだろう。相手が攻め上がったが鬼道君にカットされて豪炎寺君にパスされる。
「いけー!豪炎寺!」
「ヒロト!」
「任せてよ!流星ブレード!」
二点目もあっさり決まってしまい、なんだか凄い意気込んでたのが無駄になったくらいだ。
「なんか、拍子抜けだね」
『うん、相手のディフェンダーが機能してない…』
「初戦だし、しかも初出場だし、おかしい話ではないんじゃないかな」
『確かに…』
前半が終わり、後半が始まっても相手が点を決められてばかりで、点差がすごい事になっている。
「ここまで点差が開くなんて…」
「びっくりするんだけど…」
試合のホイッスルが鳴り、8−0で明電高校が圧倒的勝利となった。こんな強くて良いのか…?
「いや、明電高校強すぎだろ…」
「やべぇな、必殺技出まくりじゃねぇか」
取り敢えず、ロッカールームに向かおう。
「『お疲れ様でした…!』」
「おう、おつかれ」
皆普通だな…。驕り高ぶることもなく、怪しむ事もなく。
『お疲れ様、ヒロト君』
「瑠璃、何かおかしいって感じなかった?」
『うん、ここまで相手が弱いなんて…。中学サッカーの方がもっと白熱してた様な…』
「だよね」
「ねぇ、瑠璃ちゃん、見て」
『あ〜、そういう事だったんだ』
「え?」
『今戦った高校、最近やっと部活になって、しかも元文化部で構成されたチームだったみたい』
「なるほどな…」
「だからこんな試合だった訳か…」
「でも、次は凄いとこと当たるんだよね」
まぁ、普通に考えればそうだろう。一回戦でまさかこんな結果になるとは…。
「取り敢えず、今日はこれで終わりだ。帰って休め。それから、明日も休みだからきちんと体を休めるんだぞ」
「はい」
こんなあっさり終わっちゃうなんて。
『ヒロト君』
「帰ろうか」
『うん』