第16章 Freeze! 〈天晶 瑠璃〉
体育祭の後、倦怠期(?)なるものを突破した私達は、というかヒロト君は愛情表現が直球になってきました。流石に皆の見てる所ではしないけど一日に一回はしてるんじゃないかってくらいキスしてくるし。
「いよいよ今日だよ、瑠璃」
『頑張ってね。フットボールフロンティアハイスクール、遂に今日だし。ヒロト君、フォワードで出るんだもんね』
「うん、出られない人の分の気持ちを背負って頑張るよ」
『ちゃんと見てるよ。私、マネージャーとしてはグラウンドにいれないけど、観客席でちゃんと見てるから』
「絶対見つける」
『良いから!取り敢えず試合に集中しないと!』
「分かったよ」
全く困った彼氏だと思いながらも、カッコいい事には変わりないので不問とする。
『じゃあね、頑張ってね』
「瑠璃」
自分のほっぺを指差している。まぁつまりは頑張ってのキスが欲しいのだろう。仕方ないな。少し背伸びして唇にキスしてあげた。予想外の行動に固まっていたけど、気にせずもう一度じゃあね、と言って別れた。
「瑠璃ちゃん、乃愛ちゃん呼びに行こうか」
『そうだね。まだ家にいるんじゃないかな』
「多分そうだと思う」
乃愛ちゃんの家に行くと、乃愛ちゃんは案の定家にいて、支度途中との事。
『今日かぁ、なんか緊張してきた…』
「大丈夫だよ。明電高校は勝つよ!」
『そうだよね。マネージャーが信じなきゃ!』
「お待たせ!行こっか」
『うん』
今日は、一年のマネージャーはグラウンドには入れないので観客席から応援という事になっている。
「対戦校は…今年初出場の高校らしいよ」
『じゃあ、データが無いんだね。でも、大丈夫だよ、大丈夫』
三年生で出れない先輩もいたけど、その先輩は、このチームが少しでも上に行く事を願ってるなら、迷いなく一年を出すべきだって言ってくれた。今回、一年で試合に出るのは豪炎寺君と鬼道君とヒロト君と円堂君。豪炎寺君とヒロト君はFW、鬼道君はMF、円堂君はGK。
「それにしても、一年で四人も出ちゃうなんて。凄いよね」
『うん、中学の時に日本代表に選ばれてるしね』
「そういえばそうだね」
一年生が出れるって事はそれだけ強力って事だ。FWの二人には点をバンバン取って頂きたい。スタジアムに到着して席に着いた。明電高校も相手も既に待機している。もうすぐで試合も始まりそうで、緊迫した雰囲気が漂っている。