第15章 Dream! 〈綾織 星羅〉
ーー一週間後
「海だあ!」
「気候も最高だね」
「取り敢えず着替えて来た方が良いんじゃないか」
「だね」
ひえええ…。やっぱりそうなるよね。私の唯一の防具はパーカーしかない。重装備で行くしか…あれ、パーカーが無い…⁉︎
「星羅、無駄だよ。パーカーは禁止」
『ええええ⁉︎』
乃愛ちゃん…それは無いよ…。パーカー無いと恥ずかしくて死ぬ…。
「似合ってるから大丈夫だよ、星羅ちゃん」
『ううう…』
着替えたけど…本当に大丈夫、かな…?
「お待たせ!」
「星羅はどうした」
「ありゃ、星羅ちゃーん」
『無理…パーカー…欲しい…』
「仕方ない、私達は先に行ってようよ。星羅も鬼道君だけの方が安心すると思うし」
「そうだね」
皆の去っていく音が聞こえる。
「星羅」
『ゆ、有人君…』
「見せて、くれないか」
優しい声だ。そうだよね、いつまでも待たせておくわけにはいかないもんね。勇気を振り絞って、更衣室から出てきた。
『あ、あの…』
「…」
ふええ…無言なんだけど…。だめ…ですかね…。
「…綺麗だ」
口元を手で押さえながら俯く有人君。顔、凄く真っ赤っか。
『あ、有難う…で、でも、あんまり…見ないで、ね?は、恥ずかしい…』
「それは無理な相談だ」
『え、ええ…』
「行くか」
『う、うん』
「あ、やーっと来た!星羅!早く早く!ビーチバレーやろうよ!」
乃愛ちゃんが呼んでる。そうだよ、折角海に来たんだから、楽しまなきゃ。
『行こう、有人君!』
「ああ」
ビーチバレーをやってはみたけれど、結構波乱だった。ボールを足で触る事が多いから、男子達は足で返してしまう。サッカーなのか、バレーなのかよく分からない種目になっていた。
『有人君、また足出てるよ』
「しまった…」
「天才ゲームメーカー様様だね」
「そういうお前もな」
「あ…」
「もー、皆サッカーの癖強すぎ!」
絶対水の抵抗もキック力の特訓になるって思ってるよ、この人達…。
『そろそろ休憩にしようよ』
「そうだな」
「お腹空いたー!なんか食べようよ!」
「ああ」
近くの海の家で昼食を取ることにした。結構序盤からはしゃいだから皆お腹空いたと思う。私はカレーにしようかな。
「しかし参ったな。バレーで一つも手が出ないとは」
「サッカーのやりすぎだな」
「もうバレーとは言えない競技だけどね」