第14章 Catch! 〈天晶 瑠璃〉
準決勝でぶつかっているのは、私達のクラスと乃愛ちゃんのクラス。まぁ言ってしまえば、ヒロト君対豪炎寺君の試合だ。今の所私達のクラスが一点差で勝ってるけど、豪炎寺君が攻め上がって、また一点決められてしまった。
『ヒロト君…』
「豪炎寺ー!頑張れー!」
乃愛ちゃんの声が聞こえる。豪炎寺君を応援しているんだ。私は…これで良いの…?また豪炎寺君が攻め上がって点を決められた。相手に逆転されてしまった…。
『…ヒロト君!頑張って!』
何かを思い出したかのようにヒロト君が攻め上がったけど、途中で試合終了のホイッスルが鳴ってしまった。
「負けちゃったね」
『でも、準決勝が全部一年だなんて凄いよ』
「だよね。前代未聞だよ」
後は今日の最後のお楽しみ、借り人競争のみ。ヒロト君、大丈夫かな…。
「ねえ、瑠璃!見てよ!」
『どうしたの、乃愛ちゃん』
「準決勝のもう一つの方がさ、星羅のクラスとあの円堂君?のクラスなんだって!」
『後半なのに0−0なんだね』
「円堂君のクラスはゴールが鉄壁なんだけど、シュート力がそうでもないみたいで、星羅のクラスがボール取ってっちゃうから、どっちのクラスも点が決まらないんだって」
『お互いに相性が悪いんだね』
結局、試合が終了しても0−0のままだったから、これまでの試合での得点の合計で星羅ちゃんのクラスが勝ち上がった。決勝戦は乃愛ちゃんのクラスと星羅ちゃんのクラスみたい。
「サッカーが終わったら最後のお楽しみって感じらしいね」
『長くなりそう…。乃愛ちゃんも応援頑張ってね。私はそろそろクラスに戻って休もうかな』
「うん、お疲れ」
試合も三試合あったから凄く疲れた…。教室に戻ると誰もいなくて、皆サッカーの試合に釘付けのようだった。ここからでも観れるし、いっか。まぁ、見る気は無いんだけど…。ちょっと寝ようかな。
ーー数十分後
「借り人競争があと十分で始まります。まだ校庭に集まっていない生徒は必ず校庭に集まって下さい」
アナウンスと共に目覚めると、校庭には凄い人数が集まっていた。私も、行かなきゃ。でも、あんな人集まってたら誰が誰だか絶対分かんないと思うんだけど。
「瑠璃ー!こっちこっち!」
『乃愛ちゃん、星羅ちゃん』
「基山君走るんでしょ?応援しようよ!」
『うん!』
既にヒロト君はレーンに並んでいて、目が合った。