第5章 シコ松のシコ〈チョロ松〉
「俺、買い出し行ってくるよ。」
「なんでクソ長男、僕の財布持ってんの?」
「クソだね~どうせパチンコだよ。クソだねぇ」
朝になり目を覚ますと何やらリビングの方は騒がしかった。
・・・あれ?いつ布団に入ったっけ?
ガンガンとする頭痛に気怠く火照った身体。昨日のことを思い出そうと試みるがボーっとしていて思考が止まる。
・・・あぁ風邪ひいたんだ。
思い通りにならない身体を起こすとベットの足元で体育座りしてる一松くんと目が合った。
「ダメだよ、寝てないと。」
起き上がった私の肩に手を回し、もう一度横にさせられ、一松くんの冷たい手がおでこに当たる。
「まだ熱、高そうだね。大丈夫?」
『ん、ちょっとボーっとする。』
「だろうね。それより・・・、まぁいいや。」
『え、なに?』
何か言いたそうな素振りを見せた一松くんは、私の返答も聞かず、枕元にあったタオルを手に取るとそのまま部屋を出て行った。
そんな一松くんと入れ替わるように入ってきたのは、チョロ松くんとトド松くんだった。
2人の話によれば、十四松くんも風邪をひいたらしく目覚めてから慌ただしくお粥を作っていたとのこと。
クソ長男と呼ばれているおそ松くんは、チョロ松くんのサイフを持って買い出しという名のパチンコへ向かい、カラ松くんは雪解け水を求めて家を出て行ったらしい。
「ほんと上二人揃ってどうしようもないよね。」
トド松くんは呆れて大きめのため息を吐く。
「だから今日は僕とトド松で花子ちゃんと十四松の看病するから、何かあったら何でも言ってね。」
「何か欲しいものとかない?食べたいものとか飲みたいものとか。いつもお世話になってるから、今日はボクたちに任せてよね。」
『2人ともありがとう。欲しいものか・・・』
チョロ松くんとドド松くんに言われ欲しいものがないか考えてみる。
気怠く火照った身体に欲しいもの。それは・・・。