第2章 出逢い
「こ、こちらこそっ」
『そんな緊張せんといてください
同じぐらいのお歳でしょう?
女同士仲良くしてください』
"女同士"という言葉に驚く少女は
斎藤さんに助けを求めるような視線を送った
「見ればわかる者もいるだろう
そう驚くことも無い」
『もしかして、あきませんでした?
ごめんなさいね』
「いえ、謝らないでください」
男装しているということは事情があったのだろうか
申し訳なさを感じていると声をかけられた
「おーい、そこの芸妓さん
こっちにもお酌してくれ」
『はい、ただいま』
声の主は永倉新八
その傍には藤堂平助と原田左之助がいた
3人は常連だとか
「初めまして、だよな?」
『はい
よくここに来てはるとは聞いてたんですが
なかなか機会がなくて』
「こんな綺麗な芸妓さんがいたら
知らねぇはずはないんだけどな」
『ふふ、原田さんはお上手ですね』
「おい、平助
桜ちゃんに見惚れてんのかぁ?」
「う、うるせーな、新八っつぁんは!」
『藤堂さん』
「平助でいいよ、年近そうだしさ」
『じゃあ、平助くん』
「お、おう」
私と貴方の出逢いは
ただの芸妓と新選組幹部
きっと私は既に恋に落ちていたのかもしれない