【うたプリ】My only prince.【R18】
第9章 Girl,don't misunderstand 〘蘭丸〙※
『あっつ〜、冷房つけなきゃ…』
「邪魔するぞ。」
『……どうしよう…』
「どうした?」
エアコンのリモコンを何度押してもエアコンは沈黙を保ち続けていて、電池を変えてもそれは変わらなかった。
『冷房が…つかない…』
「うそだろ…」
まさか逃げ込んだ家も冷房がつかないだなんて、誰が予測出来ただろうか。ついてないとしかいいようがない。
『空いてるホテルとかないかな〜。そもそもこの近くにあったっけ…?』
「おい、この電池って使用済みか?」
『違うと思うけど。…いや待って、んー…』
「同じ電池2回入れたりしてねぇよな」
俺の予感は見事に的中していた。
『ごめん…!』
謝る天音の髪の表面が冷風で少し揺れる。
「そのドジっつうか、間抜けっつうかはいい加減にしてくれよな。」
『ひどい!!』
「じゃあ同じ電池2回入れてんじゃねえよ…」
『いや!私あれちゃんと買ってきたから!蘭丸の洗顔フォーム!切れたって言ってたでしょ!』
「ああ、サンキュ。せめてのとこはしっかりしてんだな。」
そっと髪を撫でる。嬉しそうに顔を綻ばせる天音を見てると、口では言ってもすっげえ穏やかな気持ちになって、さらに強く髪を撫でる。
『やっと蘭丸が優しくなった〜』
「そういや俺、もうひとつ買っとけって頼んだのあったよな?」
『…なんだっけか〜、いやまあ買ってあるんだけどさ、うーんなんだっけ。』
「なんだそりゃ。」
グッと抱き寄せて耳元で囁く。
「なあ。どうされるかわかってんだろ。」