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【うたプリ】My only prince.【R18】

第9章 Girl,don't misunderstand 〘蘭丸〙※






リモコンを力づくで押してもそいつはうんともすんとも言わなかった。電池を変えてみても同じだ。部屋の温度計は、窓から取り込んだ日中の熱気が籠ったせいか32℃を表示している。

困った時に、一緒にいたいと思うのはあいつしかいないわけで。


『もしも〜し。』

「もしもし天音か。」

『そうだけど。』

「悪い、今からそっち行っていいか?」

『いいけど…私も今帰ってる途中だから家まで10分くらいかな。どうしたの?急に。』

「エアコンが壊れちまってよ。暑くて居られやしねえ。」

『それはかわいそうだね…あと蘭丸のが早く着いちゃうかもだけど大丈夫?』

「ああ、気にすんな。それじゃ。」

『またね。』



部屋の中も外も大して変わらねえな、とスニーカーをつっかけながら思う。適当な着替えやらを詰め込んだトートバッグを肩にかけながら天音の家に向かった。



『蘭丸〜!!』

後ろから少しやかましい声が聞こえる。思わず口元が緩んでしまうのがわかるが、それは表に出さないように気をつける。

「少しボリューム抑えろ。響いてるぞ。」

『ちょうどいいタイミングだったね。』

「あとあんまくっつくな、暑い。」

『着替え持ってきた?』

「話聞けよ…」


本当に暑くて嫌だったらとっくに振り払っているが、絡めてきた腕を多少の力で引き寄せてしまうあたり、俺も甘いなと思う。
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