第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
「ほんと。かわいいなぁ凛ちゃん。食べちゃいたい」
「……ぇ」
あれ。
これあたし、警戒体制入っていい感じかな。
顔ひきつらせて、いい感じかな。
一瞬で空気、変わった今。
「眼鏡?眼鏡が好きだったの?凛ちゃん」
素早い手つきで眼鏡を装着すると。
そのままあたしへと跨がる翔琉は、さっきまでの余裕満載の翔琉ではなくて、にこにこと、和やかだ。
和やか、だけど。
「あれ?」
なに、この逃げらんない、感。
「いろんな女に告白されてんのしってんのに余裕だしさー、凛の嫉妬のスイッチどこにあんの?」
「す、スイッチ?」
「眼鏡姿見せたくないなんて、メチャかわいいんだけど」
「言ってない!そんなこと言ってないから!」
「じゃあ、いいんだ?」
「それは嫌!!」
はっ。
ヤバい、何、口走ったあたし今。
「ふぅん、そっかぁ」
「違う、違う!あれは翔琉が誘導したからっ」
「天の邪鬼だなぁ、凛は」
「違う!!ってば!!」
ドン、て。
起き上がりながら翔琉の胸元を強く押せば。
簡単に翔琉はあたしの上から退いた。
「真っ赤になっちゃってかわいいなぁもう」
「違うってば!!」
「そんなに俺のこと好きなんだ?」
「ちが……っ」
違う!!
って、また否定しようと開いた口を、閉じる。
違わ、ない。
好き。
翔琉のことは、嫌いになんてなれないもの。
だけどこんなこと、口が裂けても言えないけど。
「………大好き、凛」
それでも。
言わなくたって翔琉にはそんなの全部、お見通しなんだ。
「〰️〰️〰️っ」
ちゅ、て。
啄むように軽くキスをすると。
「ねぇ、凛?」
『ノドカワイタ』