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Deep Blood ーラブヴァンプー

第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない


優しく「ん?」だったのが、突き放す「は?」に変わった。
言っている意味がわからない時に使われる相槌だ。


「いる、の?」


わかってるよ。
単なる嫉妬。
あたしの知らない翔琉を他の女が知ってる、て思ったら。
真っ黒い感情が渦巻いちゃったんだもん。
嫌な女だって、ちゃんと自覚してるよ。


「ねぇ凛?」




駄目だ。
まともに翔琉の顔、見れない。
自分がどんな幼稚なこといってんのか、よくわかるから。





「やっぱ、いい。なんでもない。寝るからもう」




翔琉の、驚いたように開かれた瞳がすぐにその面積を狭めると。
翔琉が何か言おうとする前に布団の中へと潜り込んだ。



「やきもち?」





ドキン




先ほど同様、布団の上からトントン、て。
あたしを撫でる優しい掌。


「凛、出てきて?凛ちゃんに触れたい俺」
「………」




翔琉の、甘えた声、と。
言葉に逆らえたことなどない。
こんなときにそんな甘えた声で、話す内容も、ずるい。



「…………」



おずおずと、布団から顔だけ出して翔琉を、見上げれば。


「真っ赤。凛ちゃん、かわいいなぁ」


嬉しそうに顔を綻ばせて笑うのだ。
なんでこんなに、ストレートなんだろう。
こんなにストレートに好意を見せられたらそんなの、逆らえるはず、ないよ。



「凛以外、興味ないよ?」
「………」
「凛?」


「………あたしの知らない翔琉、知ってるのが、悔しい」


ゴロン、て。
壁へと横向いて、ボソッと呟く。



だって。
眼鏡姿の翔琉。
心臓を銃で撃ち抜かれたくらいの衝撃はあったよ。
あんなの見て、心臓撃ち抜かれない人、いるの?




「凛ちゃん、ねぇこっち見て?」
「………」


モゾモゾと布団の中、身体を動かせて。
翔琉へと視線も身体も向ければ。
嬉しそうに瞳を細めて笑う、翔琉の姿。



「ごめんね?気を付けるよ」



余裕なその安定した声色も。
頭を撫でるその、幼子をあやすような掌も。
跳ね返したくもなるけど。
だけどほんとは、すごくすごく、安心する。


嫌いじゃ、ないんだ、あたし。

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