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Deep Blood ーラブヴァンプー

第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない


この、匂い。


凛?


「翔琉っ」



凛。


凛だ。


凛の匂い。
凛の体温。

凛の、甘い声。


ああ、だめだ。
理性がとぶ。




「………………………い、た………っ」




気付けば。
凛の首筋に文字通り、食らいついていた。
意識が目の前に戻ってきてくれたところで。
今さら止められない。
凛の甘い甘いそれは、媚薬なんて生易しいものじゃない。
それはまるで、『麻薬』だ。
1度この味を知ったら、やめることなんて不可能だ。










「………かけ、るっ」




弱々しくそう、呼ぶ声に我に変える。
力なく手足を投げ出し、全身の力が抜けた凛に。
一瞬目の前が真っ暗になった。

これ。
俺?


首筋から溢れ出す血液は、まさしく動脈まで牙が到達したことを物語る。
喉を小さくヒュ、とならし。
凛の顔はまさしく、真っ青だ。



「大丈夫だよ」


ごめん、凜。


「大丈夫だよ、凛ちゃん。怖がらせてごめんね」



顔をあげて凜を見れば。
凜は安心したように俺を見た。


だけどごめん。
もう少しだけ、付き合って。


「え……………」


そのまま岩場の上で押し倒す俺に。
明らかに見せた、拒絶の表情。
先ほど、理性に負けたことをいいわけにひたすら貪った血液は、凛の体の自由を奪うには充分な量だ。
動かない体に、戸惑いと不安で揺れた瞳。
お構いなしに凛のラッシュガードに手をかける俺に。

「かけ、る」

動かない体で、弱々しく凛は訴えた。




「……………ごめん凛、俺を受け入れてくれるよね?」
「え」


疑問系に聞いてたみたけど。
悪いけど凛の同意は求めてないんだ。




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