第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
ヴァンパイアのそれは、自分の欲する相手なら速効性の媚薬となる。
まさか凜の体液にも同じ効果がでるなんて、誤算だった。
凜の噛み痕から広がる熱はおさまることを知らずに暴れまくっているのに、だ。
それでも絶対に押さえなければいけない衝動、のはず、だったのに。
凛はちゃんと受け入れてくれた。
本能のままに凛の肌へと牙を突き刺し、ただ本能のままにそれを貪り尽くしたとゆーのに。
それでも凛は、俺を受け入れてくれた。
1度知った凛の味は。
まるで麻薬のように俺の中に入り込み、時間をおかず凛の血液を貪った。
まさしく、麻薬だ。
隣にいるだけで甘い匂いが俺の理性をいとも簡単に崩していくのだから。
凛を知ってしまったら。
もう他の女の血液なんて飲みたいとは思わない。
凛以外、いらない。
吸血行動自体は、特に積極的にしていた方ではない。
時々、喉が渇いたときだけ、狩に行っていた程度だ。
それが凛は違う。
凛を思うだけで、喉が渇く。
凛が隣にいるだけで、凛の血液を飲み干したくなる。
それなのに。
『噛むのも禁止』
大切にしたい、気持ちと。
凛の全てを奪い尽くしたい。
凛の体に流れる全ての血液を…………飲み干したい。
相反する気持ちが交差する。