第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
あの日。
すべてが終わって始まったあの日。
胸騒ぎがして、凛の匂いを辿ってみれば。
全身から大量の血液を流し、ぐったりと動かなくなっている凛を見つけた。
迷っている暇などなかった。
自分の舌を噛み千切り、あふれでる血液を凛の噛み痕から流し込んだ。
ほぼ全部の血液を流し込んだあと、微かに凛に暖かみが戻ったのを確認して。
凛の家にもどって、全身をキレイにし、服を着せた。
あとは俺の血液が、凛の傷を癒してくれるはずだ。
翌日。
思ったとおり凛は元気に登校してきた。
ただひとつ気掛かりなのが。
「………………喉渇いた?」
壁に片手をついて荒い呼吸を繰り返す凛に冷たいお茶を差し出す。
もちろん、こんなもので口渇が収まるとは思ってない。
「かけ、る」
潤んだ瞳。
荒い呼吸。
開いた口からのぞくのは、『牙』。
「うん、あげる」
凛が欲しいもの。
望むものを。
人気のいない場所まで誘導すれば、凛は狂ったように首筋に牙を立ててきた。
慣れない吸血行動のせいで、力加減を知らない凛の牙は、皮膚深くに隠れた動脈までも突き破る。
たくさん血液をこぼしながら、一心不乱に血液を貪る凛の姿は、征服欲をかきたてた。