第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
「そろそろかいさーん。泊まり組は民宿移動するぞー」
誰ともわからない声がそう聞こえて、真上にあったはずの太陽を見てみれば。
いつのまにか夕日が顔を出していた。
「翔琉?」
いつもならベタベタベタベタそばから離れないはずの彼氏の姿が、ここ数時間見てない気がする。
「そーいえば二宮見てないね」
「うん」
「凛が触るな、なんてゆーから他の女でも喰ってんじゃないのー?」
「ないから!」
あながち『喰って』るかもしれない、は。
絶対ない!と言えない、かも。
「あたし、探してから行くから先いってて」
「はいよー」
まさかほんとに?
ほんとに他の女の血液、飲んでたりする?
『喉渇いた』
そう言ってたもん。
飲んだら、あんな風に他の女抱くの?
やだ。
やだやだやだ。
他の女の血液飲むのも、絶対いやっ!
どこにいるの?
翔琉、どこ行っちゃったの?
日差しは嫌い、って言ってたよね。
日差しが強くないとこ、っていえば。
岩場?
岩場ったって、広すぎて探せる自信ない。
携帯かけても出ないし。
なんで出ないの?
まさかやっぱり、他の女と一緒にいて、出れないってこと?
「翔琉っ」