第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
翔琉がつらそうにしてるとこ、見たことないよ?
『飢え』って。
だって『吸血行動』は人間の『快楽』と一緒なんでしょ?
あってもなくても、平気なんでしょ?
「禁止っ!」
少しだけ残る不安を払拭するように頭をふって。
パラソルから抜け出した。
はっきり言って。
確かに海、って。
みんな大胆になってる気もね、するんだ。
けっこう海くるとさ、目立つよね。
やたらベタベタイチャイチャしてるカップル。
でもあーゆーのって。
当人同士はいいけど、まわりの人にとってはあんまりいい感じしない。
いや、特別嫌な気分にもならないけど。
何となく、ちょっと引くってゆーか。
あたしは、しないな、なんて思ってたの。
まさかそっち側に自分が行くなんて思わなかったしさ。
だから。
翔琉には悪いんだけど。
ほんとにほんとに、無理なの。
ベタベタイチャイチャするのは、ふたりの時にしよーよっ。