第3章 運命なんて、選んだ選択肢のひとつの結果でしかない
「なんでっ?」
「なんでもっ『咬む』のも禁止っ」
「俺死んじゃうじゃんっ」
「別に吸血しなくても死なないんでしょ?」
「いや、俺死ぬよ?」
「飲まなくても平気ってゆった!」
「言った、言ったけど。俺もう凜ちゃんの血しか飲みたくないし」
「飲まなくていい!」
なんでそこ、吸血前提で話してる?
飲まなくても飲んでも、変わんないって言ったよね?
「でも喉は渇くじゃん」
「………………今までどーしてたの」
「喉渇かなかったし」
「?」
「凜の甘い味を1度しっちゃったらさ、隣に凜がいるだけで甘い匂いするんだもん。喉渇くに決まってるじゃん」
なんかよくわかんない理屈だけど。
「隣にいなければいいの?」
「渇くよそれでも。ヴァンパイアの飢えは酷いんだよ、辛いんだよ。凜は俺に地獄を見せたいの?」
なんかよくわかんないけど。
大袈裟に言ってるだけだよね?
だって現に。
1か月前まではあたし、噛まれたこと、なかったし。