第2章 花の蜜に吸い寄せられるのは、蝶だけではない
欲しい。
欲しがってる。
いつも、いつだって翔琉が欲しくて仕方ないのに。
欲しくて欲しくて、たまらないのに。
「翔琉……っ」
「いい顔、凛。続けて?」
「欲しい、よ」
熱い。
全身の血液、気化でもされちゃったみたいに。
熱くて仕方ない。
黙って見下ろす翔琉の視線にさえ、犯されてるみたい。
「翔琉、もっと『それ』、ちょーだい…っ」
「………っ」
自ら唇を近づけるあたしを、翔琉の掌が制する。
「今はだめ。これ以上煽られたら制御出来ないから」
「……っ」
「キスは帰ったらたくさん、してあげる」
唇を掌で塞ぎながら。
翔琉の指先はスカートの中へと侵入し、簡単に下着をずらす。
「もうちょっと、慣らすね?」
「………ッッふ、んんぅ」
ぐずぐずに溶けたそこは、簡単に指を2本、飲み込み。
拡げられる圧迫感に体は勝手に震え出す。
さらに奥と手前の浅いところを交互に擦られれば。
種類の違う刺激に、生理的な涙が溢れて流れてく。
快感を逃したくても。
押さえつけられた体は身動きさえ取ることを許されず、代わりに口を塞ぐ彼の腕にすがりつき爪を立てた。
「_____っ」
痛みに歪む彼に不安げに瞳を揺らすけど。
すぐに彼は余裕たっぷりにその表情に笑みを称えるのだ。
「いくらでも爪でも歯でも、立てて」
わざとらしくリップ音でも響かせながら。
彼の唇は溢れた涙を舐めとっていく。
もちろん。
指先の動かは先ほどから衰えることなどなくて。
達したいのに弾けない熱は体の中に蓄積されていくばかりだ。
「……ん、んん…っ」
口付けと共に先ほど入ってきた翔琉の唾液は、あたしの体を熱くさせるばかりで。
達するにはまだ、足りない。
足りない、のに。
キスを彼は許してはくれないのだ。
いつもは嫌だって言ってもその唾液という名の媚薬を、体中に塗りたくっていくくせに。