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三十路教師と女子高生。

第2章 4月。担任とアイツと初対面と。




「…は?」

入学式の日の放課後、俺は耳を疑う言葉を聞いた。

「あの…うちのクラスの灰羽の両親から連絡がありまして…
海外出張で父母不在のため、当面灰羽は去年先生が担任してた椎名さんの家にお世話になる…と。」

椎名…
椎名美優の自宅に、あの灰羽リエーフがお世話になる、だと。
確か椎名の家は両親が全く自宅に帰ってこないからほぼ一人暮らし。

「あの野郎…」
「あの、山岡先生?」

は、と気づけば目の前には困惑した顔の灰羽のクラスの担任の浅沼先生。

「あ、すいません。椎名も両親不在なので…
すぐ連絡を取って事実確認を…」
「わかりました。でも椎名さんだったら大丈夫だと思いますよ?」
「…そういえば浅沼先生、椎名が1年の時に音駒にいましたもんね。」
「はい。椎名さんのご飯、美味しいですよね。
本当、調理実習の際は私の方がお世話になりました。」

そうだった。
浅沼先生は家庭科担当。
この先生も散々椎名に迷惑かけられた人だったよ…

「流石に私も椎名さんの連絡先まではわからないので…
よろしくお願いしますね?」
「…わかりました。」

建前で了解したが、正直面倒くさい。


…なんて思いながらもアイツに連絡を取れることが嬉しくて、俺はあえてロッカールームに向かい電話をかけた。

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