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三十路教師と女子高生。

第3章 4月、木曜放課後、家庭訪問。


「さて、先生はアレルギーはないんですよね?」

唐突な話題の変化についていけない俺。
戸惑いながらはいと返事をすれば、橘の祖母はゆっくりとした動作で立ち上がり橘を呼ぶ。

「おばあちゃん、話終わった?」
「終わったよ。」

祖母と話した橘は俺を向くと、小さく笑う。

「先生、サバの味噌煮好き?」
「嫌いでは、ない。」
「じゃあ食べてって?先生の分もあるから。」

は?
どういうことだ。

問うように橘の顔を見れば、橘が俺を座布団に座らせる。

「聞いたじゃないですか、独身ですか、アレルギーないですかって。」

あれは遠回しに飯の準備をするってことだったのか。
いや、分かんねえだろう。

なんて自問自答をしていれば、目の前に出てくるサバの味噌煮。
小鉢にはほうれん草ともやしのお浸し、味噌汁は茗荷と小葱が浮かんでいる。

「ご飯どのくらい食べれますか?」

は、と横を見ればお櫃からご飯を盛る橘。
普通盛りを選択すれば茶碗にちょうど良い量の白米が盛られる。
それを受け取れば、橘はお櫃に蓋をし、自分の食事に向き合いいただきますと手を合わせた。

ここまで出されたものを食わないわけにはいかない。
俺も手を合わせ先ずは味噌汁に手を付けた。

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