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三十路教師と女子高生。

第2章 4月。担任とアイツと初対面と。


「また鯖の味噌煮定食作ってくれるんならいいよー?」

深々と頭を下げた俺と椎名。
その上から降ってきた軽い言葉に顔を上げれば校長はにこにこと満面の笑みを浮かべていた。
俺と椎名は先程の騒ぎに関しての謝罪で校長室に来ていた。
こってり絞られるのかと思ったけれど呆気なく話は終わる。
校長室の扉を閉め、重く苦しい息を吐くと隣からジャージの袖が遠慮がちに引かれた。

「まさ…嗣さんごめんね?お礼に今度何か作ってくるよ?」

頑張って読んだ名前。
上目遣いの困った顔。
本当に無防備だなと今日何度目かの溜息を吐く。

「お前の飯も魅力的だけどさ…」

じいと椎名を見つめれば途中で途切れた言葉に疑問を持ったらしい椎名が俺の目をじっと見つめる。

「どうしたの?」

キスしてえ。
欲望にまみれた言葉を喉の奥に仕舞いこみ、小さな本音を吐き出す。

「……デート…しねえ?」

椎名の赤くなる頬にこちらも照れ臭くなりぽりぽりと頭を掻けば、俺から目をそらした椎名がぽつりと言葉を俺に向けた。

「…拒否権は?」
「ねえ…って言いたいところだけど流石にこれはお前の好きに…」
「デートじゃなくてお出かけなら…」

言い訳のような言葉。
それでも高揚する気持ちに、俺はいつの間にか椎名の背中を壁に押し付けていた。

「ちょっ⁈マサちゃん⁈」
「黙れって…」

慌てた声にトーンダウンした声を耳に吹き込めば、椎名は顔を真っ赤にして口を紡ぐ。

「お前さ…ガキならまだしも28の大人が誘ってんだってーの。
少しは意識しろって…」

顔をそらしたままこちらの様子を見るように視線を彷徨わせている姿が可愛いくて耳元でそっと囁く。

「まさ…つぐさん…お願い…離れて…」

抵抗のつもりなんだろうな。
ぐいと胸を押されるけれど、ンな弱い力で男は動かねぇ。

「なあ…美優…」

真っ赤に染まる頬に指を這わせ、そのまま顎をくいと持ち上げこちらを見させる。
宙をさまよっていた視線が俺の方を向くと、明らかに動揺した椎名の顔。
このまま唇でも奪ってやろうか。
なんて思っていれば、椎名が視界から消えた。


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