第2章 4月。担任とアイツと初対面と。
聞いてしまった周りの男女が大騒ぎ。
当人同士がいるから余計に大惨事。
椎名と芝山は焦った顔をしていると言うのに諸悪の権化は不思議そうな顔をしている。
本当は教師以外は黙っておくつもりだったのにな。
どう説明したらいいもんか。
重い息を吐けば、隣から呼ばれた名前。
そちらを向けば椎名が申し訳なさそうな顔をする。
「マサちゃん、ごめん…」
「…名前……」
「正嗣…さん。」
便乗して名前を呼ばせたけれどそれでも事態が好転するわけではない。
「お前…あいつなんとかしろよ…いや、マジで。」
「馬鹿正直でいい子なんだよ?」
「言っていいことと悪いことがあるだろ…」
必死なフォローを一刀両断すれば椎名は深く息を吐きぽつりと言葉を呟いた。
「躾しておく…」
顔を真っ青にさせた芝山のフォローに回る椎名。
それはいいんだが、コイツはスキンシップをしすぎる傾向にあるらしい。
芝山の頭を撫で微笑む椎名。
椎名に気持ちがあるこちらとしては複雑なんだが…
「なんで芝山ばっかり構うんですかー!」
また灰羽が余計なことを言う。
「もー、リエーフのせいなんだからね!ってちょっと⁈」
しかも窘めた椎名を腕の中に収める始末。
廊下にさらに響く生徒の声。
椎名の方を向けば、すうと表情が無になり灰羽の腕から逃れると灰羽の背中に綺麗な回し蹴りをヒットさせた。
「リエーフ…いい加減に……しなさいっ!」
「いっっってえぇえ‼︎‼︎」
鈍い音がして崩れ落ちる体。
ついでに見えたスカートの中身とともに俺は休憩が終わる知らせを聞いたのだった。