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三十路教師と女子高生。

第2章 4月。担任とアイツと初対面と。


授業以外ではあまり通らない2年廊下。
そこを歩けば椎名が俺の後ろをついてくる。
確かここだったよなと教室のドアを開ければ目的の他より頭一つ分飛び抜けた銀髪が目に入った。

「おい、灰羽。椎名が弁当届けに来たぞ。」

俺がそういう横の隙間から椎名が顔を出せば、それを見つけた灰羽が1番後ろの席から寄ってくる。

「え?山岡せんせー?あれ?美優さん!」
「お弁当。忘れてったでしょ?」
「途中で気づいたんですが朝練間に合わなさそうだったんで…」

新婚夫婦かってくらいぽんぽんと飛び跳ねる会話。
はあとため息を吐けば、隣ではやけにでかい弁当が手渡されていた。

「灰羽くん。」

灰羽の名前を呼ばれ、俺を含め3人が振り返れば小さめ…いや、灰羽と比べたら小さめだけど平均身長の男子、確か芝山が灰羽に声をかけた。

「今日放課後の部活は無しだって。明日は朝練無しで放課後は部活あり。伝えたからね?」
「おー!芝山了解!」
「あ、芝山だ!」

目に入っていなかったのか、椎名の声に体をびくりと羽させる芝山。
そうだった、椎名、バレー部のマネやってたんだっけ。

「あれ?椎名さん。どうしたんですか?」
「リエーフがお弁当忘れたから届けに来たの。」
「…?”忘れた”から”届けに”きたんですか?」
「そうだよ?」

不思議そうな芝山の顔にふとよぎる不安。
余計なことを言うなと口止めをしていないことに気づき、口止めをしようとした俺よりも早く芝山の口が動く。

「それってなんか一緒に暮らしてるみたいな言い方ですね。」

急いで椎名の方を向けば椎名も気づいたのか2人で灰羽の口を塞ごうとした。

したんだけどな。

「うん。今、俺、美優さん家に住んでる。」

あいつは本当に能天気らしい…


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