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三十路教師と女子高生。

第2章 4月。担任とアイツと初対面と。



水曜、午前10時過ぎの職員室。

「お前な…卒業しても面倒ごと持ってくんなって…」
「マサちゃんごめんね?」

職員室でため息を吐く俺の前で両手を合わせ申し訳なさそうな顔をしているこいつは椎名美優。
10時に指定したのは午前の方が校長が都合が良いって理由もあるけれど、授業で出払っていて職員室にあまり人が居ないから、なんて幼稚な理由。

「灰羽の両親からも許可は出てるし、まあ大丈夫だろうって話だ。ちなみに去年居なかった先生方には説明はしておいた。」

朝の会議でこの話をしたけれど…
なんで灰羽の担任の浅沼センセじゃなくて俺が話をしなきゃいけないんだと言う気持ちをグッと飲み込みながらの会議。
新任のババアは噛み付いてきたけれど、椎名のことを知っている周りが宥めていた。
最初から気に食わなかったんだあのババア。ざまあみろだ。

「さすがマサちゃん。」
「さすがじゃねえよ…どれだけ俺に仕事させるんだ…」

小さく笑う椎名にため息を着けば、椎名は体を曲げ座っている俺に小さく耳打ちをする。

「でも、私に会えて嬉しいでしょ?」

ふわり、香るフレグランスの香り。
薄いけれど化粧をして色付いた目尻。
リップグロスで潤んだ唇。
食っちまいてえなぁと思いながら俺に微笑む椎名の瞳を見つめる。

「まあな。」

なんて正直に言ってやれば、余裕そうに笑っていた顔がみるみる真っ赤になっていった。

「お、少しは意識してくれてんのか?」

困ったように下がった眉や耳まで真っ赤な顔。
こちらを意識していますって感じのその顔が嬉しくて頭をぽんぽんと撫でてやれば、椎名は違うと口籠もりながら目線を下に下げた。

なんで俺のものになんねえのかな。

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