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三十路教師と女子高生。

第2章 4月。担任とアイツと初対面と。



スマホをポケットに戻し、はあと息を吐く。



「美優チャン、ですか?」

急に聞こえた声に体をビクつかせ聞こえた声の方を見れば、そこには齋藤先生。

「盗み聞きですか?」
「いーや、誤解ですよ。部活が終わって着替えに来たら、楽しそうな笑い声がしたもので…」
「だから、声をかけずに待っていた、と。」

がらり
ロッカールームの扉が開き、ジャージ姿の齋藤先生が入って来る。
職員室に男性教諭がいないから油断した。
はあとため息を吐けば、齋藤先生がくすりと笑う。

「本当、メロメロですね、美優チャンに。」
「だからどうしたんですか?」
「あ、認めましたね。」
「まあ、アイツ卒業しましたから。」

ポケットに入れたタバコを取り火をつけようとしたけれど、禁煙だということを思い出しフィルターを噛む。

「じゃあ灰羽から取っちゃうわけだ。」
「奪えたら…ですけどね。」
「うわあ、怖い。」

全く怖そうな顔をせずけらけらと笑う齋藤先生の横を通り、入口へと向かう。

「ああ、俺帰るんで最後見回りよろしくお願いしますね?先輩?」
「うわ、ずるい。俺このあと予定あるのに。」
「3年の岡本とでしょう?サッカー部のマネージャーの。本当に年下好きですよね。」
「山岡先生もでしょう?」

俺は卒業まで我慢したからアンタとは違う
その言葉を飲み込み廊下に出ると、職員室に鞄を取りに行きまっすぐ車へと向かう。

車に乗り込み咥えていたタバコにライターで火を付ければ体に悪そうな味が口いっぱいに広がる。
もやりとした気持ちと一緒にはあと吐き出し灰皿にタバコをもみ消すと、自宅に帰るため車のエンジンをかけたのであった。
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