第3章 煩悩に忠実に(兄side)
やめなければ、と思う反面
美菜を引き寄せる力は強まるばかり。
顔を引いて逃げようとする美菜に身体を押し付けるよう壁に縫いつける。
「…っは…逃げんなよ…」
「はふ……はふ…」
一生懸命に息をしてい妹の姿。
それだけなのにとてもゾクゾクとしてくる。
背徳感ってのもあるだろうけど
「こっち向けって」
キスをしようと唇を近づけると触れる寸前で美菜の手のひらが顎を思いっきり押し上げた。
「い゛でででででっ!!!」
「ぱ、パパが来たらどーすんの!」
「近づいて来たら足音するから分かるって」
美菜は首がとれるのではないかと思ってしまう程の勢いで首を左右に振っている。
ダメダメと騒ぎ立てる美菜に唇を尖らせると美菜は目を泳がせながら おずおずと背中に腕を回してきた。
ぎゅっと弱々しく入れられる力に、どうしようもなく愛しいという気持ちが湧き上がってくる。
美菜の顔が胸より少し下、鳩尾よりやや上ぐらいの位置でモゴモゴと動いている。
「マジでキモいんだけど…」
「wwでも好きだろ?」
「ウザい…」
俺の胸から顔を上げた美菜の顔は、どうも形容しずらかった。
恥ずかしい、悲しい?色々な顔
「なんつー顔してんだよ」
「あんたがさしたんでしょ」
思わず笑い声を上げて、最後にと口を近づけると
廊下から慌ただしく足音が聞こえてくる。
唇が触れるまであと少し。
バタバタと足音が大きくなっていく。
勢いのまま腕に力を入れようとすると
「せぃ!!!」
美菜の掛け声と共に身体が勢いよく洗面台に叩きつけられた。
「い゛っ!!!」
それと同時に洗面所の扉が開く
「鉄朗、美菜、用意するなら早くしなさい!遅刻するぞ……なにしてんだ鉄朗」
「ハハ…怪力な妹がお兄様に暴力をふるったのだよ」
「ウザ絡みするからでしょ?!もう!!時間ないじゃん!!」
グチグチ文句を言いながら俺を睨みつけると
部活に遅刻してしまえー!!とだけ残して洗面所から出て行った。
ずっと続けばと思った時間は終わって
俺たちは兄妹に戻った