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COMPLEX【 R 18 】

第2章 逆に私だけなのでは?!


「乱暴だなー。もうちょっと可愛いらしい妹できませんかねー」



そんな鉄朗の言葉に私は笑顔を浮かべると足の甲の上に乗せた足に体重をこめた。





「か、わ、い、い、でしょう?」




「いでーって!痛ぇ!」



鉄朗はムスっと不機嫌に歪んだ私の顔を見ると、その顔を隠すかのように その大きな手のひらを私の顔面に押し付けた。




「ん゛ぅ!?なに、ウザいんだけど」



「あー……」


歯切れの悪い、唸り声のような声を上げると鉄朗は目を泳がせながらワシワシ乱暴に髪の毛を撫で上げた。




「ちょっと!髪の毛くちゃくちゃになっちゃうじゃない!!」




手を払いのけようともがくと鉄朗の手が頬を撫でるのを感じた。
そのとたん自分の心臓がキュウっと締め付けられる気がした。




バクバクと脈打つ心臓は、静かなこの部屋に響き渡るのではないかというぐらいに大きくなっている。



それでも動揺を兄に悟られたくはない。




強気に目の前に立つ兄を睨みつける。小さく下唇を噛むと、不安気な気持ちを表すかのように瞳に膜が張るのを感じた。






休日の朝、いつも部活の朝練でいない兄が
寝起きそのままの格好で、狭い洗面所で二人きり。





これは



いろいろとヤバイのでは?!!






「な、ななななななんじゃコラッやんのかコラ」





頰に当てられた手に力が入る。




「っへ。もうちっとぶってみろよ」




「妹が兄に対して可愛こぶるわけないでしょーが!顎痛い!離してよっ!」



ニヤニヤ笑ている鉄朗の口角に力が入る。
急に真剣な顔をすると私の顔にゆっくりと近づいてきた。



「ふーーん……で?」




「でって…」




息がかかる





相手は実の兄だ。
血の繋がりのある兄。



お兄ちゃん。




似ている顔





性格




なのに今、私の目の前にいるのはまるで



まるで




知らない人みたいで
ドキドキと心臓が高鳴る。
顔にかかる息に肌と首筋がゾクゾクとしてくる。





あの夜も思った。




私だけなのではと思った。
変なんだ……。




互いに…




「目ぇ、とじろよ」





変なんだ…



だって…こんなにも

兄が



男性にみえるんだから…


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