第1章 ●瞳に映らなくとも*伊月俊
初めて奪った咲良の唇は凄く柔らかくて、思わず心臓がドクリと跳ねた。
もう一回したくて、もっと深いところまで進みたくて。
咲良の一生懸命目を閉じている顔を見ながら告げる。
「次、舌入れてもいいか…?」
思った以上に掠れた声が出て、自分でもびっくりした。
咲良は俺の声を聞いた瞬間、爆発してしまうんじゃないかと思うくらい真っ赤になりながらコクリと頷いたあと、ゆっくりと閉じていた唇を微かに開いた。
そこに唇を合わせ、ゆっくり舌を差し込んだ。
クチュ…、と厭らしい水音を立てながら舌を絡めていく。
おずおずと俺の動きに合わせて動く舌が堪らなく愛おしい。
もっとだ。もっと欲しい。
俺の汚い欲望ふつふつと湧き上がり、それと比例するように咲良とのキスは激しさを増す。
「んっ、…はぁ。」
咲良から甘い吐息が漏れ出して、俺は僅かに唇を離す。
「咲良、この先、進んでもいい、かな…?」
咲良の瞳は既に潤んでいて、やっぱり限界かな…、と思った。
けど、咲良はニコリと笑って言った。
「伊月君となら、怖くないよ。
私も、伊月君ともっと触れ合いたい、です。」
「本当に良いのか…?」
「うん。伊月君が好きなようにして…?
私も、きっとそうされたいと思うから。」
少し宙を迷った手が俺の顔に触れると、咲良はとっても嬉しそうに笑った。
俺も咲良の顔に手を添えて、もう一度惹かれ合うようにキスをした。