第2章 「おい お前、俺を拾え」
大きな黒いゴミ袋が置いてあった。
やだ、ここゴミ捨て場じゃないのに......
あの大きさだと業務用かしら。
もしかして不法投棄?
そんなことを考えながら顔をしかめて
そのゴミ袋に歩み寄り、
『うわーーーーあぁぁあ!!!』
閑静な住宅街の夜には相応しくない、
ついでに若き女性にも
あまり相応しくない悲鳴を上げ、
さやかは思わず後ずさりした。
遠目にゴミ袋と見えたものは、
.......人間だったのである。
リュックを背中に丸くなって転がっている
同世代....くらい...なのか?
男の人だった。
し......死んでる?
マンションの玄関先に死体が転がっていたら、
それは住人として警察に通報しなくては。
酔っ払った頭が
酔っ払ったなりの判断を下し、
さやかはそっと腕を伸ばして
人差し指で男の頬をつついた。
そしてその刺激で男はうっすら目を開けた。
.......あらやだ。けっこういい男。