第8章 「フキノトウ/フキ そしてツクシ」
説明しながらリヴァイは
まな板の上にサランラップを張って、
味噌を薄く塗り伸ばした。
その味噌の上に
切りそろえた雄株の茎を並べ、
更に味噌でコーティング。
最終的にサランラップで包んで
ジッパーバッグに入れ、冷蔵庫へ。
「これは一晩漬けて明日の
メシのおかずになるぞ」
神妙に頷いたさやかの前で、
リヴァイの手が一旦止まった。
その目の前にはフキノトウがある。
摘んでいるときは
もっともっととワクワクするが、
いざ持ち帰って料る段になると
思いのほか多くなる
......というのが山菜というものらしい。
『ごめん、ちょっと採りすぎた....?』
「フキノトウは保存すんのが難しい。
早めに使い切らねえとな。」
『天ぷら!フキノトウの
天ぷら食べたい!』
「......さやか、フキノトウの
天ぷら食ったことはあるのか?」
『ないけど......一番有名な
食べ方じゃない?食べてみたい』
「なら二つは揚げるが、
一個は絶対食えよ。命令だ」
何やら不穏な念押しをされて
内心慄きながら頷く。