第8章 「フキノトウ/フキ そしてツクシ」
「あと五ついいぞ」
改めて数を決められて、
さやかはますます
吟味しながら残り五つの
フキノトウを摘んだ。
「これに入れろ」
リヴァイが出してきたレジ袋に
摘んだフキノトウを入れる。
先にリヴァイの摘んでいた
雄株が何本か入っていた。
「次、フキ摘んでこい。
こっちのほうがよっぽど
使いであるんだぞ」
『えーと、どういう規準?』
「茎が太くて緑色のやつ。
茎が茶色っぽいのは採るなよ。
あんまり旨くねえからな....
葉はちぎって捨てろ。」
『はーい』
とフキをかき分けて、さやかは
『きゃあっ!』
と悲鳴を上げた。
「なんだ、虫でもいたのか?」
振り向いたリヴァイに
さやかはフキを
かき分けたまま見せた。
『ねえ、これって、
これって、もしかして......』
「ツクシ、それがどうした」
『すごい、私絵本とか
図鑑でしか見たことない!
ねえ、確かこれも
食べられるんだよね?!』
「食えるが......
そいつは手間かかる」
『食べたい!!!!
食べたい食べたい食べたい食べたい!』
「まあフキも
手間っちゃ手間なんだが......」
リヴァイはしばらく
逡巡(しゅんじゅん)してからこう言った。
「さやかが家帰って
手伝うなら採ってもいいぞ」
『手伝う!』
「フキもだぞ」
『分かった』
それで契約成立として、
さやかはフキに混じって
生えているツクシを摘み始めた。