第8章 「フキノトウ/フキ そしてツクシ」
『フキノトウって
雄株と雌株があるの?』
「そっちの日当たりのいい側、
だいぶ伸びたのがあるだろ。それ雄株」
日当たりのいい辺りには既に
フキが伸びている中に紛れるように、
背丈がぐっと伸びて
花も開ききったフキノトウのなれの
果てらしきものが生えている。
『雄株と雌株で
生長の早さが違うの?』
「いや、単に日当たりのいいほうに
雄株が出ただけだろうな。」
『おんなじくらいの大きさのときは
どうやって見分けるの?』
「花が開いてくると分かるぞ。
黄色っぽいのが雄株。そっちの花、
てっぺんが黄色っぽいだろ」
リヴァイは一通り
シャッターを切ると
「場所替われ」
と開いた雄花や
フキも写真に撮り始めた。
『フキノトウが
大きくなるとフキになるの?』
「フキノトウは
繁殖のための株だ。そのまま枯れる。
種もタイミング次第で出来たり
出来なかったり。フキは地下茎から
また別に生えてる。」
そしてその辺りで
リヴァイの撮影は終わったらしい。
「じゃあ採るぞ」
『採るぞって......』
怪訝な顔をしたさやかに、
リヴァイはフキの群生した地面を
ぐるっと指差した。
「フキノトウが今、三、四パックで
三九八円。フキだと一束ニ九八円。
それがタダで自然に生えてる。いいな?」
『い......いい.....いいけど......』
さやかは慄(おのの)いた
ように問いかけた。