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植物図鑑【リヴァイ/進撃の巨人】

第1章 「あの男」





『和名はヘクソカズラといいます』





「屁糞.....?!」





『はい。つるや葉をちぎると名前の通り
悪臭がしますよ。


花の可憐さや特徴を
採ろうとしてサオトメカズラやヤイトバナ
なんて別名も考えられたようですけど、


やっぱり一番インパクトのある名前が
定着しちゃった一例ですね』





そこまで淡々と喋って、さやかは
呆気に取られている部長にやっと気づいた。





『どうなさいましたか?』





「いや......」





部長が苦笑しながら答えた。





「君のような若い女性から凄まじい単語が
さらっと出てきて驚いてたとこだ。


そうか、ヘクソカズラねえ......」





そして部長はあっと声を上げた。





「こういうのもセクハラというのか?」





『いえ、私は別に......』






気にしませんからとごにょごにょ呟く。
そもそも二十代も後半に入って、





若い女性と言ってもらえる範疇(はんちゅう)に
自分が入っているとは思いもしなかった。





ほっと胸を撫で下ろした部長が改めて
ヘクソカズラ.....いや、
ここはサオトメカズラと呼んでおこう





その可憐な花を眺める。






「せっかく綺麗な花なのになぁ、
気の毒な名前がついたもんだなぁ。」





部長をよそに、




さやかは内心自分を罵(ののし)っていた。


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