第13章 カラ松事変
「海で待ってて...と言いたいところだけど、カラ松まだ寝間着ですよね?このままだと潮風にやられてカラ松が風邪ひいちゃいそうなので、適当にお店などに入って暇つぶしといてください。迎えに行きますので。」
「あ...おう分かった。じゃあ3丁目の幸屋にいる。」
「了解です。では失礼します。」
チン、と電話を切り居間を見る。未だに争いあってる六つ子が...いなかった。もう食べ終わってて、皿の上には何も無かった。早いな...まああんなに争ってたら早くなくなるか...
「あ、なつきちゃん?あなた食べてないでしょう。ごめんね、ニート達が全部食べちゃって。もう1個梨残ってるから、よかったら食べてちょうだい。」
台所から顔を覗かせた松代さんがそう言ってくれた。じゃあ私は帰ってから梨をいただこうかな...あ、いいこと思いついた。
チビ太が指定した幸屋に着いた。暖簾を潜って中に入ると目的の人物はすぐ見つかった。
「チビ太さんすみません、少し遅くなりました..あらー....カラ松兄さん泣いちゃってるし....」
「おー...なつきちゃん。すまねぇカラ松泣かしちまって...」
「いや、大丈夫、大丈夫です。カラ松兄さん?なんで泣いてるの?」
グスッ、グスッ、ととめどなく涙が流れ落ちてるカラ松の肩を優しく叩き、子供に問うみたいに聞く。カラ松はゆっくり私をみて...そして
「なつき〜〜!!!!」
「わわっ!!」
ガバッ...と腰あたりに抱きついてきた。あーあ...嬉しいけど服がカラ松の涙でビショビショになるじゃんか...とりあえずグズグズと子供みたいにグズッてるカラ松の声に耳をすませた。
「俺、梨に負けたよ...俺も梨食べたかったよ...うわぁぁぁぁぁ!!」
梨...梨しかないの?思ってること。嘘だろ幼女かよコイツ。萌えすぎてヤバイ。手を額にのせ、私は上を向いて悶絶する。とりあえず持ってきた梨を与えよう。話はそっからだ。
「カラ松兄さん、梨なら持ってきたよ。ほら、一緒に食べよう?」
「なつき......梨持ってきてくれたのか?うれじいいいい!!!」
また号泣するカラ松。もう涙と鼻水で顔はグジュグジュだ。超可愛い。