第13章 カラ松事変
ほらほら、飢えてるそのニート達は涎を垂らしてそっちに釘付けになってしまったじゃないか!!
「ご近所さんに分けてもらったの。食べなさい。」
「「「「「やったぁぁぁあ!!!」」」」」
最後の最後で裏切ったなチョロ松。お前もう梨のことしか考えてねぇだろ!!あああ...カラ松どうすんの!?とりあえず電話を見ると、なんと受話器はまだ繋がっていた。まだ切るなよ相手!!私は新記録を出すんじゃないかってほど素早く立ち上がりながら受話器へと掛けた。
「も、も、もしもし!?まだ繋がってますか!?」
受話器を手にして受け答えするのはいいが、相手は誘拐犯だ。怖いものは怖い。私が相手の機嫌を損ねてしまってカラ松が殺されてしまったら死んでも死にきれない。
「あっ、よかったぜバーロー!!ほっとかれたと思って一瞬諦めてたところだったんだ!」
「あ、あの、カラ松は無事ですか?百万円って...」
「おう、カラ松はまだ無事だぜ。今はな。身代金は百万円だバーローチクチョー!!」
......バーローチクチョー...あれ、もしかして受話器の向こう側の人物って。
「...チビ太さん?」
「......はぁぁぁんっ!!?」
「あれ、チビ太さんですよね。てやんでェバーローチクチョーの。何やってるんですか?」
「なななな、なんで...」
「いや、何ではこっちのセリフですよ...まさか、今までの六つ子の溜まりに溜まったツケ...だったりとか...」
「......バレたんなら仕方ないよなぁ...そうだよバーロー。もう百万溜まってしまって、これ以上積むと返済が困るんじゃねぇかと思って...いい機会だから派手にやってやろうと...」
慌ててたチビ太が観念したように言った。ちょいちょいさり気ない優しさみせるとこ、好きだよ私。チビ太だったらカラ松にそんな酷いことはしないだろうから、強ばって上がってた肩の力をフッと抜く。
「...チビ太さん。確かにツケを溜めてた六つ子にも...いや、9割六つ子が悪いんだけど...誘拐したチビ太さんも悪いです。犯罪なんですよ?」
「うぅ......すまねぇ...」
「今、何処にいるんですか?海ですか?」
「あ、あぁ...」