第13章 カラ松事変
「うまいぃぃ...うまいよなつき〜〜!!!」
「いや私は美味しくないからね。まぁ梨が、だろうけどすみませんねぇ欲望丸出しで。」
「何言ってんだオメェ...」
バクバクとさっきの兄弟のような食べっぷりで、持ってきた分の量の梨がなくなっていく。顔に涙と鼻水と果汁が追加された。可愛い。
あ、そうだ忘れてた。
「はいチビ太さん、これ身代金の百万円。カラ松兄さんを返してもらってもいい?」
「「ええっ!?」」
なによ、2人とも大きな声を出しちゃって。私はそういうつもりで来たんだけど...カラ松も梨を食べてた手を止めて私を凝視してるし。そんなに見られちゃ私爆せそう...。
「こ、この金どっから...」
「あぁ、これは私のバイト代とカラ松兄さん除く六つ子の全財産から出しております。」
今頃財布の中身を見て驚愕してるだろうなぁ...
ごめんね、みんな。でもカラ松見捨てたみんなも悪いだろうし。みんなのツケを全部払ってあげるような優しさは生憎もっておりませんので。
「なつき...」
今日何回私はカラ松に名前を呼ばれたのだろうか...嬉しいぞ、ありがとうございます!
「じ、じゃあお金は貰うぞ?ツケはゼロにしとくな...よし、カラ松を解放するぜバーロー!よかったな、カラ松!!家族じゃないけど、ちゃんと人情持ってるやつがいて!!な!!」
「ううう...ありがとうチビ太ぁ...俺、俺ぇ...」
そこでありがとう言っちゃうんだぁ...誘拐したのチビ太なんだけどなぁ...でも、まあいいか。
「俺...やっと気持ちの整理がついたぜ...」
ん?気持ちの整理とは...さっきのへにょへにょした顔はどこにやら、キリッとした顔で私を真っ直ぐ見るカラ松にドキッとした。
「そーか、頑張れよチクチョー!!応援してるぞ!!」
「え?...えっと?」
なんかチビ太には話が通じてるらしくて..私が来る前になんか話してたんだろうか...訳分からんわ...特に何をする訳でもなく、「じゃあ」と言って私達は幸屋を後にした。ちょっと違うがカラ松事変はこれにて終了!お粗末様でした