第12章 トト子なのだ
「セ...背中トントンしてもらった。」
心底嬉しそうな顔でポツリと言ったチョロ松。うわ、やっぱり童貞臭い!
「「金返せコラァァァァァ!!!」」
紅松がチョロ松に蹴りを入れる。いや、うん。最初から金は返して欲しかった。てか、それ私も入りたいわ。
「あっ、来たよ!」
十四松の声で3人はステージを見上げる。
「ト...トト子ちゃんだ!トト子ちゃーーん!」
ステージの照明が付いて、トト子ちゃんがステージ中央へ出てきた。衣装は...魚?可愛い...くはないと思う少なくとも。なんか魚被ってるし。周りの反応もイマイチだった。
「あああーっ!!」
サリウムを持って1人前へ走っていったチョロ松。ニャーちゃんのライブ行ってるから、合いの手はバッチリである。
「ウロコを剥がさないでっ、胸がいっぱい♪」
「イカは1杯!」
「恋はマボロシ〜♪」
「一夜干し!」
「人類みなエラ呼吸〜♪」
「パクパクパクッ!イエーーっイ!可愛くない!?」
「「「「「すっげぇカワイイ!!」」」」」
チョロ松が同意を求めると、私と並んで後ろにいた5人が反応し、ステージ前へ走っていき振りをし始めた。なんだこの茶番。結局トト子ちゃんが可愛ければなんでもいい六つ子はいいとして、その他の人達は迷惑で仕方がない。イヤミの大きな「シェェェェェェ!!」の声を背にライブ会場を後にする私。
さて、買い物し直さないと。3人分。