第1章 ゴミ女
「あ、あの、お気遣いは嬉しいけど、兄弟に悪いんで早く行ってあげて。」
それを聞いてずっと黙ってた一松が立って私の手を引っ張った。
「えっ、ちょっ...どこ行くの!?」
「銭湯。あんた臭い。」
ガーーーーン!!ショック!!え、なに、やっぱりこの匂いに耐えられなくて、一松は...待って。
「わ、私お金ないんだってば!」
「そんなの奢るよ、クソ松が。」
「えっ!?」
ほら、カラ松も予想外だよ。てか、これ以上時間くっちゃやばいんじゃないの?こっちが焦るわ!
「...てことで、ちょっと用を済ませてからそっちへ向かうな。じゃ。」
カラ松はそう締めてスマホの通話を切った。そして何の躊躇いもなく、私達に付いてきた。あ、財布確認してる...凄く悪い気がしてきた。
「ちょっ...一松!!...さん、やっぱりその...」
「なに、うるさいんだけど。」
「うっ...」
一松に睨まれてちょっと怯んだ私は、助けを求めるようにカラ松を見た。だがカラ松はニコッと笑っただけで、助けてくれなかったので付いていかざるを得なかった。連れてきて貰った銭湯は、いつも六つ子が通ってるところだった。お金はカラ松からもらい(めっちゃペコペコしてお礼言った。)10分で出て、すぐみんながいる焼肉屋さんへ。移動中はずっと一松が私を引っ張っていた。みんながいる席に近づくに連れてだんだん緊張してきた。やばい、今すぐ帰りたい...いや、帰りたくないけど帰りたいっていう矛盾だらけの思考が頭を駆け巡っていた。まず席に付いて話しかけてきたのはおそ松。
「おっ、おせぇよお前ら〜。もう飲んじゃってるよ?」
色松より最初に私に話しかけてきたのはサイバー松。
「本当に連れてきちゃったの!?...すみません、うちの兄弟が...迷惑お掛けして。」
「うわ、僕達より年下?カラ松兄さんにしてはいい人見つけてきたねぇ〜」
料理の感想ついでに挨拶してきたのは十四松。
「この肉うっっめ〜〜!!こんにちは!!これもうっっめ〜〜!!」
うわ、知ってたけどキャラ濃いなお前ら。とりあえずおそ松の隣にお邪魔して座る。結構広いのな、ここ。私が座ってる列の奥からチョロ松、おそ松、私、カラ松。反対側の列の奥から十四松、トド松、一松。なんかよく分かんないけど、流れで自己紹介することになった。