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松野家のトリップ少女

第10章 就職しよう


「どこって仕事ザンス。」

「イヤミ、仕事してるんだ。」

「当たり前ザンス。ミーはチミ達みたいに暇じゃないザンスよ。」

「何の仕事?」

「求人。この仕事ができる人間を探しているザンス。」

「あ、ちょうどいいじゃん。イヤミ、僕達に仕事紹介してよ。」

「お、いいねぇ。」

「いいザンスよ。」

そうやってとんとん拍子に仕事を紹介してもらうことになり、車に乗せてもらって仕事場まで案内してもらう。私は別に仕事しないから、六つ子だけ連れてってくれてもよかったのに。

「いや〜イヤミ君!やっぱり持つべきものは親友だね〜」

「右よーし!左よーし!前歯よーし!」

「静かにするザンス。...このご時世においしい仕事はそうそうないザンスよ?」

「大きなシノギの匂いがする...」

「誰?」

「助かったね〜、イヤミの紹介なら気楽だしさ。いい感じ!」

「どういたしましてザンス。」

各好きなことを言っている。なんか人気のない場所まで来てるんだけど、これ本当に安全な仕事場なのかな。不安になってきたよ。

着いた場所は何というか...

「...え...何ここ...」

「なんか...全体的に黒いね...」

そう、雲や建物など黒いのはもちろん、自動販売機の入ってる飲み物まで全部ブラックコーヒーである。どういうことなの。

「これってもしかして...」

「うん、てか書いてある。開き直りすぎじゃない?」

「社畜のみなさーん!」

「社畜ってゆーな!!」

「早速作業の説明するザンス。こんな感じザンス。」

見せてくれた案内の紙まで真っ黒で、何書いてあるのか全くわからない。

「わっかんねぇよ!そこブラックにしてどうすんだ!」

「スケジュールはこうで、避難経路はこうザンス。」

「......はー...い。」

「うわっ、見えんの?」

「何作ればいいの?」

「知る必要ないよ、ブラック工場。」

「そっか〜。」

「受け入れんの早すぎ!もっと危機感もって!」

六つ子には全然危機感がないようだ。仕事して無さすぎて、ブラック工場がどういうところか分かってなかったりして...
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