第10章 就職しよう
「じゃよろしくザンスー。」
「何をだよ!おーーい!!」
伝えるだけ伝えてイヤミは颯爽を消え去った。逃げたなアイツ。
「ねぇマズイよ...こういうヤバイ職場聞いたことがあるんだ...トイレは共同...その便座は見知らぬオッサンの生ケツが置かれた直後のもの...トイレットペーパーを敷こうが無意味...何故ならそのトイレットペーパーすらもうすでに見知らぬオッサンが生ケツを敷いた直後に触ってるから...」
「ぎゃああああっ!!」
「どこを怖がってんだ!!女子かっ!!」
「僕おっさんと間接ケツなんて絶対無理だよーっ!」
「間接ケツって何!?間接キスみたいに言わないで!!」
六つ子がブラック工場のあることないことわいわいと言ってる間に消えてしまった筈のイヤミが私によってきた。
「...ちょいちょいチミ、チミは雑用をやってもらうザンス。」
「うわっ、どっから湧いてできたんだ!え、待って、私は働きませんよ?」
「何言ってるザンスか。ここにきた限り、タダでは帰さないザンスよ。」
「はあ!?」
「大人しくついてくるザンス!」
「ちょっ...」
腕を引かれて工場に引き込まれる。嘘、私も働くの?てか六つ子と一緒にいさせてくれないの!?一気に寂しくなってきたんだけど...
「ここで掃除してるザンス。」
「は。」
連れてかれた場所はなんと、さっきまで紅松がわいわいと言っていたおっさんの生ケツが置かれた汚いトイレだった。さっきの話を聞いてた私はトイレを見て気分が悪くなってきた。
「じゃ、ミーは行くザンスよ。終わったら工場まで来るザンス。」
「え、ちょっ、イヤミさん!!イヤミさあああああん!!」
とうとうイヤミにも見放されて私は一人ぼっちになった。ヤバい...ヤバいぞ...知らない土地で一人ぼっちは流石に無理...誰かぁ......とか言っても誰も来ないわけで。仕方なくトイレ掃除を始める。せめてマスクが欲しかった。寂しさよりもトイレの匂いがやばい。トイレ掃除なんてまともにやったことないから出来るかな...
1時間くらいたっただろうか...鼻にトイレの匂いがすっかり染み込んだ頃、やっとトイレ掃除が終わった。イヤミさんに言われた通りに工場に入ったらおっさんがレーンに沿って並んでいて、ただ黙々と作業をしていた。