• テキストサイズ

松野家のトリップ少女

第7章 デート編〜チョロ松〜


シアター内の席に座り、映画が始まるのをポップコーン食べながら待つ私達。不意にチョロ松が話しかけてきた。

「なつきさ...」

「うん?」

「褒めて欲しかったの?その、服について...」

まだそんなこと考えてたのか。やっぱりタイミング間違えた。

「あー...いや、うん。褒めて欲しくなかったわけじゃないから...」

「そっか...」

周りが暗くなった。私は映画館の音量がすこぶる苦手でいつも片耳塞ぐんだけどさ、それに気づいたチョロ松が私の耳に近づいて映画が始まる直前にこう言った。

「に、似合ってるよ...」

「!!!!」

びっくりして横を見るが、既に映画を見始めて集中してるチョロ松に変化はなかった。いや、少し赤いかな...?少女漫画か!!やめてよそういう不意打ちな褒め方!!惚れるだろが!!
結局映画は前半あまり頭に入ってこなかった。

映画が終わって余韻に浸ってると、チョロ松がこう言った。

「なんかさ、褒めるのって恥ずかしいね。」

「え?」

「いや、自分で言っといてなんだけど、実は凄く恥ずかしかったんだよね。さっきの。」

「え、いやいやいや。私の方が恥ずかしかったよ?お陰で物語の最初の内容スッカラカーン。」

「え、なつきも?」

「は?兄さんも?」

言ってておかしくなった。いきなり吹き出した私を不思議そうな顔で見てくるチョロ松。だって恥ずかしいセリフを言った本人まで恥ずかしがって映画に集中できなかったとか、どんだけポンコツなんだよ。アニメ中でも出てくる美人女性キャラに対してチョロ松はとてつもなくポンコツになるけど、私にもポンコツになってくれるなんて嬉しいの極みだわ。キャラへの愛しさが込み上がってきて、私は最後にこう言った。

「もう...チョロ松兄さん大好きだわ!」

「えっ!?」

そう言った私に赤面してるチョロ松をしっかり写真撮ってから私達は帰ることにした。短いデートだったけど、中身は充実していて楽しかった。
/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp