第7章 デート編〜チョロ松〜
今日はチョロ松とデートだ。早いものでもう兄弟とのデートは半分終わってしまった。まあまだ大変なのが二人残ってるわけなのだが、そんなことを考えながら脱衣所で気着替えてると、ドアからトントンと叩く音が聞こえた。
「なつきいるよね?着替えたらおしえて、デ、デ、デートいくから!」
「はいよ〜」
デートと言うだけで声が裏返ってる。ドア越しでも分かりやすいチョロ松の反応は可愛い。廊下で「よっ、童貞!」「うるさい!!」という声が聞こえてきて、さらに顔がにやけてしまう。今更かと思うが、なぜ私が脱衣所で着替えてるかと言うと...松野家にはドアに鍵が付いてる個室がここしかないのだ。というか、こことトイレ以外襖という構造で、プライバシーもひったくれもない。別に下着を見られて困ることはないんだけど、チョロ松が...ね?ここは察してほしい。さて、着替え終わったのでチョロ松が待ってる玄関へと足を運ぶ。
「お待たせ。」
「あ、着替え終わったね。よし行こう。」
「あ、うん...。」
なぜ私が微妙な返事をしたかというと、実はちょっとお洒落を気にして、普段とは違う服装と髪型をしたのだ。気づいて欲しくなかった訳では無いので、褒めてくれるかと思ったんだが...。しょんぼりしてたのだろうか、それを目ざとく見つけたトド松が
「ちょっとチョロ松兄さん、なんか言ってあげたら?気づいてるんでしょ。」
と助け舟を出してくれた。さすがトド松。それを聞いてチョロ松は
「え、だって別にそんなに変わってないでしょ?何も言うことなくない?」
だってさ。クソ、この童貞クソニートが。
「うっわ〜...最悪。チョロ松兄さん一生彼女出来ないんじゃない?」
そう言ったトド松の言葉を無視してチョロ松は玄関からで行く。しょうがないので付いて行く私だが、なんか腑に落ちない。初っ端から雰囲気悪いなこのデート。