第6章 デート編〜一松〜
見事筋肉痛になりました、なつきです。歩けないほどではないけど、階段の上り下りがかなりキツイ。高校生という若い年齢でこのザマ。自分の運動不足を呪う。今日のデートは一松だから、きっとそんなに連れ回さないだろうとふむ。てか、スタートダッシュから一松はスローだった。なんとデートはご飯食べ終わってからだったのだ。他の兄弟達も不思議がって一松に「デートは?」と聞かれてた。13時くらいになってデートは明日にするのかな?って思ったわ。
「行くよ。」
「えっ?」
「デート、今日俺でしょ。」
「あ、行くの?」
「......何、やっぱり俺みたいなゴミと一緒にデート行きたくなくなった?ごめんなさいねぇ...?」
「行きたいです。行きましょう。」
面倒臭かった。正直、こいつにデートというものが出来るのであろうかと思っていたのだけど、意外と普通だった。あ、このセリフ前回も言った気がする。でも、普通過ぎた。なんたってデートコースは普段一松が猫に餌をやりに来てる路地裏なのだ。私がトリップしてきた場所でもあるが。嫌味なのかな、嫌味だろうな。
「...あそこにいたんだよね、あんた。」
やっぱりいじってきた、クソ。
「忘れてはくれないの?」
「そんな数日前のこと、簡単に忘れられるわけないでしょ。」
...ですよねぇ。それから一松は猫に餌をやって、黙ってしまった。沈黙が続く。き、気まずい...一松は気まずいとは思ってないみたいで、むしろ猫触れてご機嫌とも見れる。私が辛いやつなんじゃねこれ。
「.........猫、私も触っていい?」
「あ?」
ヒイッ、怖いよお前!!何めっちゃ低い声出してんだよ、ビビるよ!!
「いや何でもないです。」
私のバカ。そこで引いちゃダメだろうが。一松もじっ、と私を見てる。居心地が悪過ぎて思わず正座してしまう。なんだこれ。
「猫好きなの?」
「え?」
「あんた1回で聞き取れないわけ?」
「ごめんなさい、猫好きです!」