第5章 デート編〜十四松〜
いきなり視界が高くなり、驚いて下を向くとなんと十四松が私を肩車していた。そして端っこにある流れるプールへとかけていく。走ってはいけません十四松!前言撤回、やっぱり天使ではなく狂人でした。
「じゅ、十四松!...兄さん!は、は、走んないで!!」
「えー?何〜!?」
流れるプールに着いたらそのままダイブ!!ウッソだろ、水しぶきヤバくて周りの人に迷惑に...くっそ、鼻にめっちゃ水入った!!
「ゲホゲホゴホッ!!」
「気持ちい〜ね!!」
なんて笑う十四松。おい、周りの大人達の目を見てみろ。「非常識な奴らめ」という顔と目をしておるぞ!小心者の私はいつもならすぐ謝るところだが、咳き込むので必死な私は対応出来ない。そうしていると、プールサイドからピーッ、という笛が響いた。うわ、これ絶対怒られるぞ...
「おいコラー!!そこの2人!!」
...いや〜、こっぴどく叱られましたよ。私は被害者なのにね。当の本人なんかあっちへキラキラこっちへキラキラと早くプールに入りたいらしく、全然監視員さんの話を聞いてない。途中で監視員さんも諦めたみたいで、私に「気をつけて」と言って去っていった。十四松と一緒にいると、子供と一緒にいる感覚に陥ってしまう。でも、その後十四松に二三言小言を言ってから流れるプールを楽しみましたけどね。
「なつきって泳げねーんだね!!」
ずっと浮き輪持ってたからバレてしまった。いや、ちょっとは泳げるけどね!!流れるプールでは悲惨なものだった。結構波が高くて、波が近くまできた時、勢いで私も浮くんだけどその時私の足が付かなくて溺れかけたんだよね...。いや、近くに十四松いたからさ、十四松に抱きついてとりあえず溺れることはなかったんだけど...
「怖かったらずっと捕まっててもイイっすよ!」
と言った十四松がすっごい男前で、キュンとなったのはここだけの話。胸筋ヤバかった...毎日野球やってるからだろうな...これはラッキースケベのうちに入るのだろうか...なんて考えてたら波がきてるのに気付かず、私は全身水の中に入ってしまった。これはヤバイぞ、死ぬ。そう思った時、
「いよいっしょ〜!!!」
十四松が私の腰を掴んで波の上へ持ち上げてくれた...いや、私は夢小説の主人公か!!夢小説の主人公だった!!