第5章 デート編〜十四松〜
十四松とのデートは絶対野球だ、と思ってた私は昨日筋肉痛を恐れて準備運動していたのだが...
「なつき、泳ぎマッスル!!」
「......は?」
詳しく聞いてみたら、室内プールに行きたいらしい。いつものドブ川で泳がされるのかと一瞬身構えたが、意外としっかりとデートコースを考えてたみたいでびっくりした。そうだよね、流石に冬じゃ寒いわっ!!
「...でも、私水着持ってない...」
そう言ったら、プールの近くに水着屋さんがあるらしいのでそこからまず行くことにした。レディースの水着は結構露出が多いもの多くてさ、ちょっとうっ、となったよね。
「なつきなつき!!これはどうっすか!?」
見せてきたのは意外にも普通の水着。私でも着れそうなものだった。上下がくっついてる黄色い......え、黄色?
「あ、あの十四松さん?めっちゃ黄色いけど、どうしたのこれ。」
「あはは〜、なつきとお揃いにしたくて!!」
純粋な目が痛い!!ごめんなさい、「僕の色を着て欲しくて」と言ってくれるのを少し期待した私を殴って下さい。とりあえず可愛かったし、購入した。「やった〜!お揃いお揃い!」
と喜ぶ十四松を見てまた罪悪感が...
更衣室で着替えて、プールサイドへ出たら既に十四松が待っていた。やっぱり男の子は着替えるのが早い早い。
「ごめん、お待たせ。」
「ううん、待ってないよ!早く泳ご!」
そう言えば、十四松はよく海までクロールして泳ぎに行ってるみたいだけど、私は50m泳げるかどうか分からないくらいの距離しか泳げない。私としては流れるプールあたりがいいんだが...。あ、ここの室内プールはとっても大きくて、底が浅いプールと深いプール、学校にあるような競技用のプール、流れるプールに波のプール、そしてスライダーとめっちゃ揃ってる。だから競技用プールへ走っていった(プールサイドは走ってはいけません)十四松を止めて言った。
「兄さん、私流れるプールに行きたいな!」
ピタッと足を止めて十四松は方向転換して私の前まで戻ってきた。
「いいよ!」
ニコッと笑う十四松は天使のようだ。
「出発〜!!」