第3章 初めての兄さん
ナシが綺麗さっぱりなくなり、松代さんにお礼を言うために台所へ皿を持って行って居間に戻った時、おそ松が不意にこう言った。
「なつきちゃんってさ、なんかカラ松と一松にだけ敬語使わなくねぇ?」
「そうだよね、僕もそう思った。ねぇ、僕達にも敬語なんて使わなくていいよ♡むしろ、兄さんって言ってもらっても僕は構わないけど。」
トド松の意見に一瞬の差はあったものの、みんなわっ、と騒ぎ賛成の声が上がった。
「ええ!?なになに、僕なつきちゃんの兄さんになんの!?まじでぇ!?」
十四松は嬉しそうに跳ねてた。可愛いなこの成人男性。しかし、私もその提案に賛成だ。大好きなキャラと本当の兄弟になれたみたいで卒倒しそうなほど嬉しい。賛成の旨を伝えたらみんな喜んでくれた。トリップの神様どうもありがとう。最初の方に馬鹿にして本当にごめんなさい。
兄さん呼びに慣れてきた頃。だいたいここに来てから5日かな。松野家ニートのようなメシ食って寝るだけの寄生虫にはならないようにと、掃除や洗濯干し等の簡単なお手伝いも慣れてきた頃。トド松が不意にこう言った。
「ねぇなつき、僕と一緒にどっか出掛けようよ。隣町に新しいパンケーキ屋さんが出来たんだって。今度合コンの予定入ってるんだけど、下見したいから一緒に行ってくれたら嬉しいな」
「はぁ...てかトド松兄さんって最近釣りか合コンしかしてなくない?それでいいの?」
「うるっさいなぁ、僕の勝手でしょ?それで、パンケーキ屋はどうするの、僕の奢りなんだけど。」
「行く。」
「なんかおそ松兄さんに似てきたよねぇ..」
うっさいなトド松。私の元々の性格自体がおそ松寄りなんだよ!そう突っ込んでたら、いきなり襖が開いておそ松が入ってきた。
「聞いたぞトド松!なつきとデートすんの!?お兄ちゃん抜きでどこ行くんだよ〜!!」
出た、駄々っ子長男。この成人男性、長男の癖して面倒臭い程の寂しがり屋なのである。
「別にいいでしょ!羨ましいんだったらおそ松兄さんも誘えばいいじゃん!」
「そっかぁ!」
「馬鹿なの!?」
「よし決めた!!なつき、俺と明日パチンコ行こう!!」
「しかも最悪なチョイス!!それに明日は僕が先約なんだから、違う日にしてよね!!」
「えええ!?そこは長男に譲るべきだろうが!」
「出たよクソ政権!」