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【進撃の巨人】今日から君は調査兵団【エルヴィン】

第5章 月刊『壁男』と夜会


「失礼しま ――」
謝り終わる前に、首に温かい生地が触れ、心地よい香りがした。
「冷えるぞ」
エルヴィンの手で白いマフラーがまかれていく。エルヴィンにとっては何てことない行為でもエリナにとっては平常心でいられない。避けているつもりはないが、同世代の女性と比べて自分は男性と触れ合う機会が少ない。カルロの性別は男性だが、幼馴染として育ったのでエリナにとっては男性のカテゴリーから多少外れる。エルヴィンの行為にどうこたえていいのかわからず、
「ありがとうございます」
当たり障りのないお礼の言葉のみ述べた。
「護衛も大変だな」
スーツ姿のエリナを見て分かったのだろう、労いの言葉は温かった。
「わかって頂けましたか」
「君は真面目だからね。きっと夜会でも職務を考えてのスーツスタイルだろう?」
上辺だけの美辞麗句より、エルヴィンのその言葉が何より嬉しかった。こういう時にボキャブラリーがないのは困ったものだ。
「壁内広しといえど、エルヴィン分隊長ほどの人たらしはいませんね」
ほら、こんな可愛くない言葉しかでない。
「壁内広し・・か」
エルヴィンの顔は一瞬取り繕った笑顔を見せたが、次の瞬間は瞳の碧を一層強くさせた。
「外を知りたいとは思わないか?」
答えに戸惑っていると中から歓声が聞こえた。年が明けたのであろう、質問には答えずに祝いの言葉を告げる。
「あけましておめでとうございます、エルヴィン分隊長。今年もどうか ――」

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