第4章 地下のゴロツキ
「お前、駐屯兵団か。こんな所で何をしている?」
鋭い目つきは変わらず、声色は落ち着いていた。
年齢はエリナより少し若いくらいだろうか。背丈はエリナと大して変わらないほど小柄だが、威圧感という名のオーラが醸し出されていた。
「駐屯兵団所属のエリナ・バラークです。立体起動の訓練にお借りしていました。失礼ながら貴方は?」
上官かもしれない為、敬礼をして質問に答える。
「・・リヴァイだ。駐屯兵団が調査兵団の演習場をなぜ使う?」
エリナは不審に思った。
駐屯兵団とて調査兵団の演習場を使うことくらい、珍しい事ではない。この人物は年齢や立体起動の身のこなしからいって新兵という訳ではなさそうだ。なぜ知らない?
「・・駐屯兵団とて、調査兵団の演習場を借りるのは珍しい事ではありませんが?」
「そうか・・。俺はまだここ慣れていないからな」
慣れていない?ふと、数か月前に聞いた噂話を思い出す。
―――聞いた?エルヴィン分隊長の推薦で地下のゴロツキ3人を訓練施設も通さず入団させるんだって!―――
敬礼をしない所を見ても、きっとこの男がその“ゴロツキ”だろう。先ほどエルヴィン分隊長が仰った “小柄な男”もこの男のことなのだ。
「貴方が地下からやってきた人?」
「・・そうだ」
だから何なんだ?そう言いたげな視線を無視して会話を続ける。エルヴィン分隊長が“勉強になる”という男だ、仲良くして損はないはず。そして、年齢からも入団年数から見ても敬語は取り払ってよさそうだ。