第4章 地下のゴロツキ
暫く眠っていたのだろうか、子供達のはしゃぐ声が聞こえてきた。瞼を開けると目の前を、年は10才くらいだろうか、子供たちがボール遊びをしている。
「お目覚めか?」
低い声に驚き声がした方を見ると、“もう1つの行きたくない理由”が書類片手に横に寝転んでいるではないか。
「エルヴィン分隊長!なぜこちらに?」
慌てて上半身を起こし敬礼をしようとするが、その右手はエルヴィンによって止められる。
「今は職務外・・ということになっているんだ敬礼は不要だ」
エルヴィンも休みに来たのだろうか、兵団服は身に着けているがリラックスをしているようだ。
「君は今から調査兵団の演習場に向かう所か?」
「ええ、まぁ・・」
その予定だったがやっぱりここに来て気が進みません・・とは言えない。
「良かった。ハンジが君に会いたがっている」
少しホッとした。迷惑をかけているのに会いたいと思ってくれているのか。
「公式に調査兵団との共同開発とできず、すみません」
目を伏せるとエリナの長いまつ毛が下を向いた。
「君のせいではないだろう?それに、ハンジには負担にならないように通常業務を減らしておいたから大丈夫だ」
―――そこまでして下さっているのかーーー
申し訳なさで揺らぐエリナの瞳をエルヴィンは見逃さなかった。
「気にしないでくれ、そうしたくてこっちもしているだけだ。それより、君はここに休みにきていたんだろ?横になったらどうだ?畏まられると私も気が休まらない」
左手で地面を叩くエルヴィンの意図を汲み、再び上半身を休めた。手の届く範囲には同じく横になるエルヴィン・スミス・・。
この状況を目撃でもされたら駐屯兵団で生きていける心地がしない。