第3章 特訓とハンジ
「却下だ!!!!」
書類が宙を舞っていく様をエリナは黙って眺めていた。
―――その書類、作るのに相当な時間かけたんですけどね。業務中じゃ終わらなかったからプライベートの時間も削ったんですけどね、まぁ貴方はその時、王都のパーティでお酒とかご馳走召し上がっていましたけどね ―――
ただし、心の中では盛大に内なるエリナが暴れていたけれど。
「駐屯兵団の技巧兵が調査兵団の力を借りるなんざ、貴様はプライドがないのか!?」
「ごもっともです。私どもの技巧兵が素晴らしいのは承知しております。僭越ながら申し上げますと、角度が異なる意見を取り入れるのも又、新たな発見があるかと・・」
「黙れ!反論している暇があったら技巧兵のケツでもお前が叩けばいいだろうが!」
予想はしていたが、やはりダメか。
―――うーん、キッツ隊長は変化を嫌う傾向にあるからねーーー
リコからのアドバイスは正しかった。そもそも、キッツがエリナに対して好意的な態度を取らないのも、着任したばかりの頃に仕事の進め方や資料作成について
「このままでは変化がなく、会議をしても前進していないように見えるのですが・・」
と意見をしたことに起因する気がしてきた。あの時の自分の言い方は確かに考慮すべきだったが、素直な感想だったのだ。
キッツからすれば痛いところを突かれたのだろう、分かっていても若造の意見に従うなんぞプライドが許さないのだ。
言われた通りに、技巧部隊がいる部屋へと足を向けた。