第2章 レストランにて
エリナと別れた3人は調査兵団本部へと向かっていた。
「分隊長、ご馳走様です!」
「エルヴィン、俺まですまんな」
2人のお礼に頷きながらも、エルヴィンの心は別のところにあった。
―――さて、地下街のゴロツキはどうしたものかな ―――
これから兵団を救うであろう翼であり剣となる彼の事を考えると自然と唇が弧を描いたのであろう、ミケが鼻で笑うのが耳に入る。
「なんだ、珍しいなお前が他兵団のただの兵士に興味を持つなんて」
「何がだ?」
「エリナとの食事が楽しかったんだろう?笑っているぞ」
僅かに口角が上がっていた自身に気付く。正確に言うとエリナの事を思い出していたわけではないのだが。
「確かに。実は俺、不思議だったんですよ。何でまた分隊長がエリナと食事を?って」
カルロも不思議そうだ。
「ただ労いたかっただけだ。資料担当が彼女になってから毎回少しずつ資料の質が上がっている。だらけた兵士が多い駐屯兵の中で毎回細部まで工夫する兵士はどんな人物なのか知りたくてな。それに壁外調査から帰ってきて日が経っていない中、男3人で食事も気が滅入る」
「なるほどな」
ミケは納得したようだが、カルロは納得していない。
「仕事に関しては熱心ですよ。でも、あいつを女という概念に入れるかどうかは別の話ですがね。分隊長なら美女が選り取り見取りで女には飽きているでしょ。壁外調査から帰ってきても色んな女が出迎えているんじゃないですか?」
現にその通りだ。壁外調査から帰ってくると女性たちがエルヴィンの姿を発見して歓喜の声をあげているのだ。毎回多大な犠牲がでる壁外調査。今のところ、隊員の死亡がゼロのエルヴィン部隊とて毎回無事に帰還できる保証はどこにもない。